スウィートシーズン 3/3 |
「微妙だね。姉と弟でもなく、男と女でもなく。形容しがたいいい関係。でも、そのうち夫と妻という法的に立証し得る関係になるけどね」 「また言ってる」 「本気だよーん。だから、司法試験も一発でパスする予定」 「予定ね」 「ばかにして。夫婦関係もいいけど、もしかしたら今が一番いい時なのかもしれないね」 「うん、そうかもしれない。・・・・でも、今が一番って事は・・・・ケンとは結婚しない方がいいって事ね」 「あ・・・・」 「ばーか」 「大丈夫。最初はお給料が少ないから大変かもしれないけど、後悔はさせないからさ」 「検事になってから、言ってくださいよ」 「言うよ。ただ、リコちゃんは今から予約済みって事だよ。いい?」 「だから、勝手に私の歴史を作るなって」 まったく、どこまで本気なんだか。 「ケンー、たーばーこー」 「っもう、しょうがないなぁ」 「そう言って、自分も吸うくせに」 「あ、あのね、バイトの先輩に安くておいしい焼き肉屋を教えてもらったんだ。今度行こうよ」 「いいねぇ。行こう行こう」 「今日でもいいよ」 「今日?まだ二日酔いでだるいし・・・・夕方になってから決めよ」 「いいよ。でも、夕方まで何するの?」 「ん?このまま。また、まりもになるの。ケンは時々、リコまりもにお茶入れてね」 「お茶くらい入れてあげるよ。じゃ、僕も一緒にまりもする。のんびり、コロコロね」 「うん。幸せを感じてしまうわ」 「それは、ケンまりもと一緒だからだよ」 「そういう事にしてあげる」 窓の外を見上げると、春の雨はいつの間にか止んでいた。 「ケン、今日泊まっていく?」 「そのつもりで来たんだけど」 「でも、Hはしないよ」 「いいよ。リコちゃんが欲情するまで気長に待つから、気にしないでくださいな」 「うふ、いい子ね。明日、ブランチにホットケーキ作ってあげる」 「オムレツも食べたい」 「うん、いいよ。作ってあげる」 リコまりもとケンまりも。 この先、私とケンの関係がどうなるのかわからないけれど、今はケンの言う通り「いい時」だと思う。 肩に寄りかかるケンの少し茶色の髪をいじりながら、のんびりとしたこの時に私は幸せを感じる。 幸せを感じ、頬が自然にゆるんでしまう自分に笑ってしまうリコまりもでありました。 f i n |