神様のごほうび1/1
 とっても仲良しの小さな兄弟がいました。春の野原のような2人でした。
 ある日、2人が遊んでいると神様がやってきました。
 「いつも仲良しで優しいお前たちに何かごほうびをあげよう。何がいい?袋いっぱいのキャンディでも、ポケットいっぱいの星のカケラでも、何でも言ってごらん」
 小さな2人は顔を見合わせて考えました。
 最初に欲しい物を言ったのは弟でした。
 「あたたかい羽の毛布をください」
 「毛布?」
 「毛布が1枚しかないのに、お兄ちゃんはボクが寒くないようにいつもボクにだけかけてくれるから。お兄ちゃんがかける毛布をください」
 「では、お前は何がいい?」
 神様はお兄ちゃんに聞きました。
 「ボクは・・・」
 「さぁ、言ってごらん」
 「ボクはごほうびはいらないです。でも、その代わり弟とずっと仲良しで一緒にいられるようにしてください」
 神様は2人の言葉を聞いてしばらく目をつぶっていました。

 「お前たちの好きな色は何かな?」
 「ボクはお日さまの色が好きです」
 弟が元気に答えました。
 「ボクは青いお空の色が好きです」
 お兄ちゃんが空を指さして答えました。
 神様は、うんうんとうなづき、ポケットから種を出してお兄ちゃんに渡しました。
 「これは花の種だよ。真ん中がお日さまの色で花びらは青いお空の色だ。咲いた花はいつか終わってしまう。でも、そこに新しい種ができて、その種がまた花を咲かせる。ずっとずっとそれを繰り返してたくさんの花が咲いていく。これはお前たちの花だよ」
 神様の話を聞いて、お兄ちゃんは嬉しそうに小さな手のひらの上の種を見つめました。
 それから、神様は2人に1枚ずつあたたかい羽の毛布を渡しました。
 2人は、ありがとうございます、と大きな声でお礼を言って帰って行きました。

 毛布を抱えて帰って行く2つの小さな背中を見つめる神様の心の中は、とてもあたたかなものでいっぱいでした。



                           fin
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